外観検査後の出荷パレット格納段積みまで自動化を実現
射出成形部品外観検査装置
Aurora Vision Studio を使用して開発しています。
射出成形はプラスチックなどの合成樹脂を金型に加圧し充填成形します。インジェクション成形ともよばれます。この工程で、圧力や温度の状況によっては、様々な不良が発生することがあります。近年、自動車部品の多くはプラスティック樹脂を採用していますが、自動車産業特有の高い品質が要求されています。ところが、従来行われていた検査員による目視検査では、人が集まらないという環境変化や、増産対応が難しい、製造現場の省力化要請など、様々な要因から、この工程の自動化が求められています。
検査の目的
射出成形された自動車部品の外観の欠点選別する装置で、部品が投入されるバリ取り機に接続して運用するものです。
検査装置では、部品表面の「欠け、キズ、膨れ、凹み、ショート、剥がれ、バリ」などの外観欠陥を検出選別し、不合格品を市場に出さないことと、検査に関するコストを低減させると共に、増産に対応できる製造ラインを構築する事も目的としています。
システム構成
検査が十分に行われるように、以下のコンポーネントを使用しています。
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Aurora Vision Studio
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intel i9 内蔵の産業用コンピュータ
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4KDalsa製ラインカメラx1、Lucid5Mエリアカメラx1、Lucid8.9Mエリアカメラx1、iDS 2.5M エリアカメラx1
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GigE インターフェースカード
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外周面用特殊照明x1、端面用照明x1、底面用照明x1、パレット用照明x1
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ロボット組込み搬送装置(ロード部、アンロード部付き)
ソリューション
基本の処理
システムを実現するためには、様々な欠陥の中で、円筒形の外周上の欠陥をどのように撮像するかを検討する必要がありました。
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円筒形の自動車部品を回転させられるように、吸着ジグを用意し、バリ取り機から移載するロボットに吸着ジグにワークを装着させる。
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吸着ジグが回転し、ラインセンサーによって高精度に外周を撮像する。
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照明は膨れや凹みが良く見えるようなライン型特殊照明を使用。
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外周以外の端面は、ロボットがワークを搬送する途中で、両端面を1台のエリアカメラで撮像。
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画像処理はAurora Vision Studio (オーロラビジョンスタジオ)を使用して開発。画面などもHMI機能でノーコードで開発。
追加の処理
このシステムでは、単に検査の自動化のみならず、出荷のためにを実現するためには、縦8列、横7列で計56個を1つのパレットに並べ、このパレットを9段積み上げる装置として、自動化することも必要でした。
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パレットに並べる為に、検査部から出てくるワークを吸着し、XYの56のポジションに整列配置する。
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並べるときに、どこが空いているかを確認する為に、カメラで格納状況を撮像する。
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パレットとパレットの間には、仕切り版を挟み込む。
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9段積みのパレットは、2箇所のパレット格納場所を作り、満杯になったら切り替えて動作するようにする。これにより、システムの停止時間を0とできる。